カッピング(Cupping)

【名詞】《官能評価|品質判定法|スペシャルティ基準》

コーヒーの香味・品質を評価するための、標準化されたテイスティング手法。
国際的にはSCA(スペシャルティコーヒー協会)やCQI(コーヒー品質協会)によって規格化されており、生豆・焙煎豆・抽出に至るまでの品質判定や、スペシャルティコーヒーの等級認定において不可欠なプロセスである。


■ 定義

カッピングとは、特定の条件下で抽出されたコーヒーの香り・風味・酸・ボディ・後味などを官能的に分析・採点する行為である。
目的は、コーヒー豆の持つポテンシャルの評価、欠点の検出、ブレンド設計や買付判断に活用される。


■ カッピングの目的と用途

分野活用例
生豆評価欠点豆の有無、精製方法による差異、産地特性の把握など
品質管理ローストごとの品質安定性、生産ロットの比較、経時劣化の確認
スペシャルティ評価SCAスコアシートによる等級付け(80点以上がスペシャルティ基準)
バイヤー判断購入前のサンプル比較、輸出入の品質確認、契約単価の適正化
教育・訓練Qグレーダー育成、バリスタ研修、感覚トレーニング

■ カッピングの標準手順(SCA方式)

  1. 焙煎: ライト〜ミディアムロースト。焙煎後8〜24時間以内が望ましい。
  2. 挽き: グラインド粒度は粗挽き(ペーパードリップより粗め)
  3. 計量: 8.25gのコーヒーに対して150mlの湯を使用(比率1:18)
  4. 香り評価: 挽きたてのドライアロマを嗅ぐ
  5. 抽出: 約93℃の湯を注ぎ、4分間蒸らす(クラスト形成)
  6. クラストブレイク: スプーンで泡を崩しながら香りを嗅ぐ(ウェットアロマ)
  7. スキミング: 表面の泡・微粉を除去
  8. テイスティング: スプーンで強く吸い込み、口内で拡散させながら評価

■ 評価項目(SCAスコアシートより)

項目内容例
フレグランス/アロマドライ香・液体香の強さと質(フローラル、ナッツ、スパイスなど)
フレーバー全体の風味印象(複雑さ、バランス)
アフターテイスト飲み込んだ後の余韻の質と長さ
アシディティ(酸)明るさ、質、強度の評価(柑橘系、ベリー系など)
ボディ質感、重量感(ライト〜フル)
バランス各要素の調和性
クリーンカップ雑味のなさ、明瞭さ
ユニフォーミティカップ間の一貫性
スイートネス甘さの存在感(生豆品質の指標)
総合評価カッパーの主観的な印象点

👉 合計スコアが80点以上であれば「スペシャルティコーヒー」と判定される。


■ 関連知識

  • 国際資格であるQグレーダーはこのカッピング手法に基づき、品質スコアをつけることができる専門家。
  • 特定のロースターや農園では独自の評価軸(例:ナチュラル vs ウォッシュドの比較、標高別評価)を用いることもある。
  • 商社・生産国ではカッピングラボが常設され、輸出前の検査が日常的に行われている。

【関連語】官能評価/SCAスコアシート/Qグレーダー/テイスティング/スペシャルティ/ブラインドカッピング
【類語】テイスティング/官能分析
【分類】品質評価/プロフェッショナルツール/国際標準

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