【名詞】《地理用語|農業気候帯|コーヒー栽培圏》
世界の主要なコーヒー生産地が集中する、赤道を中心とした緯度帯の総称。
赤道を挟んで北緯25度〜南緯25度付近の地域に広がる帯状の地帯であり、コーヒー栽培に適した気候・標高・降水量・土壌条件を備える。
この地帯ではアラビカ種・ロブスタ種ともに栽培されており、世界のコーヒー生産量のほぼ全てがコーヒーベルト内の国々で賄われている。
■ 地理的範囲
以下のような地域が、典型的な「コーヒーベルト」に属する。
| 地域区分 | 主な生産国 |
|---|---|
| 中南米 | ブラジル、コロンビア、ホンジュラス、グアテマラ、ペルー、ニカラグア、エルサルバドルなど |
| アフリカ | エチオピア、ケニア、ルワンダ、ウガンダ、タンザニア、ブルンジなど |
| アジア・太平洋 | インドネシア、ベトナム、インド、パプアニューギニア、東ティモール、フィリピンなど |
■ コーヒーベルトの特徴
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| 気候条件 | 高温多湿・年降水量1,500mm以上・昼夜の寒暖差がある地域が多く、コーヒー栽培に理想的。 |
| 標高 | アラビカ種は概ね800〜2,200mで栽培される。高地ほど酸味が明瞭で香味が複雑になりやすい。 |
| 土壌 | 火山性土壌やミネラルを含む肥沃な土地が多く、植物生育に適している。 |
| 収穫期の多様性 | 地球の周囲を囲む帯状分布のため、収穫期が国ごとに異なり、世界的な供給が季節ごとに連続しやすい。 |
■ 意義と応用
- 地理的マーケティング用語としても用いられ、コーヒー豆の産地を「コーヒーベルト内か否か」で語ることが一般的。
- 「コーヒーベルト=良質なコーヒーが育つ可能性が高い地域」という理解が、消費者や流通業者にも広く定着している。
- 一部の産地は標高やマイクロクライメイトの影響により、ベルトの外縁に近くても高品質な豆を産出している。
■ 関連語・補足
- Bean Belt(ビーンズベルト) とも呼ばれる。
- ロブスタ種はより低地・高温地域(東南アジア・アフリカ)に分布。
- 近年、気候変動によりコーヒーベルトの縮小や南北移動の可能性が指摘されている。
【関連語】アラビカ種/ロブスタ種/スペシャルティコーヒー産地/テロワール/標高/赤道気候帯
【類語】熱帯栽培地帯/コーヒー生産圏/ビーンズベルト(Bean Belt)


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