ミューシレージ(みゅーしれーじ)

【名詞】《構造成分|果肉層|精製関連語》

コーヒーチェリーの果肉部分に含まれる、パーチメント(内果皮)と果皮・果肉の間に位置する、粘性をもったゼラチン質の層。
果実糖(果糖・グルコース)やペクチン、少量の有機酸を含み、滑らかで糖分が高く、発酵性があることが特徴。
主に精製工程(ウォッシュト、ハニー、パルプドナチュラル等)において取り除かれる対象となるが、残留や処理方法によってコーヒーの風味に大きく影響を与える要素でもある。


■ コーヒーチェリー断面図


■ 主な構成成分

成分名特徴・役割
ペクチン発酵分解されるときに粘性が下がり、除去しやすくなる
糖類(果糖・ブドウ糖)発酵の栄養源となり、微生物活動に影響を与える
酵素類自己分解(自己消化)を助ける/ナチュラル精製では自然発酵に寄与する

■ 精製方法におけるミューシレージの処理

精製方式ミューシレージの扱い備考
ウォッシュト(湿式)発酵槽または酵素で完全除去される風味はクリーンで酸が明瞭
ハニー製法一部残したまま乾燥される糖分が甘さやコクに寄与
ナチュラル製法果肉ごと乾燥させるため、ミューシレージもそのまま残るフルーティな発酵香・甘みを形成
メカニカルウォッシュ機械で水とブラシを使って除去発酵を短縮しつつ処理効率を高める

■ 風味への影響

  • ミューシレージ中の糖や酸は、発酵・乾燥時の微生物活動を活性化させる燃料源となり、
     発酵香、甘み、コク、酸の質など、カップの味わいに直接影響を与える
  • ハニー精製やナチュラル精製においては、ミューシレージの残し方によって「ライト〜ブラックハニー」などの名称が使われる

■ 精製現場における注意点

ポイント内容
発酵の管理過発酵を防ぎつつ適切な分解を促すため、温度・時間・水量の調整が必要
洗浄のタイミング発酵槽後の水洗の強さや回数により風味や清潔度に違いが生まれる
天候との関係高湿度下ではミューシレージの乾燥が遅れ、発酵リスクやカビの原因となり得る

【関連語】パーチメント/果肉除去/精製工程/発酵処理/粘液層
【類語】ミューシラージュ(仏)/ミューシレージ層/粘液質/ペクチン層
【分類】果実構造/精製用語/風味要因/マイクロバイオーム要素

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