【名詞】《焙煎工程用語|焙煎理論|発展段階》
(和訳:発展時間)
コーヒー焙煎において、豆が「ファーストクラック(第一爆ぜ)」に達してから焙煎終了までの時間を指す用語。
「Development」とは文字通り「発展」「展開」を意味し、焙煎豆の風味特性(甘さ、香ばしさ、余韻、ボディ)を最終的に形成する極めて重要な時間帯とされる。
■ 工程上の位置づけ
焙煎プロファイルは一般的に以下の3段階に分けられる:
- ドライングフェーズ(Drying Phase)
→ 生豆内部の水分を蒸発させる準備段階(開始〜150°C前後) - メイラードフェーズ(Maillard Phase)
→ アミノ酸と糖が反応し、色と香りの基礎が形成される(150〜190°C前後) - デベロップメントフェーズ(Development Phase)
→ ファーストクラック(FC)開始点から焙煎終了まで。ここで豆内部のガス膨張・内部糖の焦げ・酸の揮発・香味の統合が進む。
そのため、デベロップメントタイムとは、この第3段階に相当し、フレーバー最終調整の鍵を握る。
■ 計測と比率
- 通常、焙煎開始から終了までのトータルタイムに対する「デベロップメントタイムの比率(Development Time Ratio, DTR)」も重視される。
- 一般的なDTRの目安は 20〜25%。
(例:焙煎全体10分、FCが8分目で始まった場合、終了まで2分 → DTR = 20%)
■ 意味と味わいへの影響
| DTRが短すぎる場合 | 酸味が鋭く、豆のポテンシャルが未熟のまま終了する傾向。香りや甘さが乏しくなりやすい。 |
|---|---|
| DTRが長すぎる場合 | フレーバーが重くなりすぎ、焦げ・苦味・乾いた印象が強まるリスク。ボディは出やすいが繊細さに欠ける。 |
適切なデベロップメントタイムの設計は、豆の品種・含水率・焙煎機の構造・狙う味作り(プロファイル)に大きく依存する。
■ 関連用語
- ファーストクラック(First Crack):生豆が内部圧力によって爆ぜる焙煎の転換点。Developmentの開始シグナル。
- DTR(Development Time Ratio):デベロップメントタイムが全体時間に占める割合。
- Roast Curve(焙煎曲線):温度と時間の変化をグラフ化したプロファイル。DTRはこのグラフから視認できる。
- アグトロン値/L値:焙煎度を客観的に評価する指標。DTRとも関連性を持つ。
【関連語】焙煎プロファイル/DTR/ファーストクラック/メイラード反応/カラーデベロップメント
【類語】ポストクラックフェーズ/仕上げ工程/フィニッシュタイム


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