【名詞】《業界団体｜日本｜スペシャルティコーヒー推進機関》
日本国内におけるスペシャルティコーヒーの普及・啓蒙・品質向上・産業振興を目的とする業界団体。
正式名称は「一般社団法人 日本スペシャルティコーヒー協会（英語名：Specialty Coffee Association of Japan）」。略称は SCAJ（エス・シー・エー・ジェー）。本部は東京都港区に所在する。
■ 設立と背景
- 2003年に設立。アメリカのSCAA（現SCA）およびヨーロッパのSCAEとの連携を背景に、日本市場におけるスペシャルティコーヒーの概念と品質基準を普及させるための公式機関として誕生。
- 設立時より、「From Seed to Cup（種からカップまで）」の思想を重視し、生産者・輸入業者・ロースター・バリスタ・カフェオーナー・消費者を結ぶハブ機関として機能。
■ 主な活動領域
| 分野 | 内容 |
|---|---|
| 展示会・イベントの開催 | 年1回の「SCAJ ワールドスペシャルティコーヒーカンファレンス＆エキシビション（SCAJ展示会）」を主催。日本最大、アジア最大級の業界見本市。 |
| 競技会の主催 | バリスタ／ロースター／カッピング／ブリューワーズなどの公式全国大会（JBrC・JRC・JCIGSなど）を開催し、世界大会（WBC等）への代表選手を選出。 |
| 教育と人材育成 | SCA（国際スペシャルティコーヒー協会）公認のCSP（Coffee Skills Program）を日本国内で展開。AST（認定トレーナー）の認定・支援も行う。 |
| 品質基準の普及 | SCAカッピングスコアシート、焙煎度、抽出指標、官能評価に関する教育とガイドラインの発行。 |
| 調査・研究 | 年次レポートの発行、消費動向調査、品質トレーサビリティに関する技術共有など。 |
| 国際連携 | SCA（本部）およびCQI（Coffee Quality Institute）などと連携し、国際基準の導入・翻訳・普及を担当。 |
■ 会員構成
- 法人会員・個人会員を問わず、ロースター、生豆商社、輸出入業者、カフェ経営者、教育者、消費者など幅広い層が加入。
- 会員数は約600団体・個人（2020年代中盤現在）。全国に拠点を置くロースターやカフェオーナーに加え、教育機関・流通企業・農業団体なども参加。
■ 展示会「SCAJ Conference & Exhibition」
- 毎年秋（通常は東京ビッグサイトなど）で開催される、アジア最大のスペシャルティコーヒー専門展示会。
- 出展社数は250社以上、来場者は約3万人を超える。ロースター、機材メーカー、産地関係者、輸入商社などが集結。
- 併設イベントとして、日本代表選考競技会・セミナー・焙煎体験・カッピングセッション・サステナビリティパネルなども実施される。
■ SCAとの関係性
- 日本国内において、SCA（国際スペシャルティコーヒー協会）との公式パートナーシップを持つ認定団体であり、SCA資格教育（CSP）やWCE世界大会予選などの運営ライセンスを保持。
- 近年では、トレーサビリティ、カーボンニュートラル、DEI（多様性・公平性・包括性）などの国際的価値観の導入と普及にも力を入れている。
■ 近年の動向
- 地方都市でのセミナー開催、地域焙煎所との連携、若手育成支援プログラムを強化中。
- 日本語による専門書籍、オンライン講座、Q&Aウェビナーなど、デジタル教育コンテンツの整備も進行している。
- 災害時のフェアトレード支援、環境保全型コーヒー生産の推進など、社会貢献型のプロジェクトも開始。
【関連語】SCA（国際協会）／SCAJ展示会／JBrC／CSP資格／スペシャルティコーヒー基準
【類語】スペシャルティコーヒー協議会／日本コーヒー文化推進団体
コメント