焙煎度(ばいせんど)

【名詞】《ローストレベル|加熱度分類|フレーバープロファイル指標》

コーヒー生豆を加熱(焙煎)した際の焼き加減の度合いを示す指標。
焙煎度によってコーヒーの酸味・苦味・甘味・香り・ボディが大きく変化し、最終的な風味特性や抽出適正を左右する重要な要素である。
焙煎度は色調や香り、質感の変化に基づいて分類されることが多く、ライトローストからフレンチローストまで約7〜8段階で示されるのが一般的である。


■ 焙煎度の主な分類(日本および国際的基準に準拠)

焙煎度名焙煎段階色調目安特徴的な風味傾向
ライトロースト極浅煎り明るい茶色豆の個性が強く酸味主体、果実味が際立つ
シナモンロースト浅煎りシナモン色明るい酸味とフローラル感、やや青味が残ることもある
ミディアムロースト中煎り薄茶色バランス良く、軽い苦味と甘味が感じられる
ハイロースト中深煎り中茶色酸味と苦味の中庸、ナッツやキャラメル系フレーバー
シティロースト深煎り濃い茶色コクと苦味が強調され、エスプレッソ向け
フルシティロースト深深煎り濃茶色(油分少)チョコやスパイス系の甘苦い風味、ボディ感が豊か
フレンチロースト極深煎り黒褐色(油分あり)強いロースト香と苦味、甘味は控えめ
イタリアンロースト炭化手前黒色(光沢あり)焦げ感が強く、カフェラテ・カプチーノ向けの濃厚仕上げ

■ 焙煎度と味の関係

焙煎が浅い → 深い味の傾向変化
酸味:高 → 低フルーティ/明るい → 落ち着いた → 消失気味
苦味:低 → 高控えめ → チョコレート様 → 焦げ感・スモーキー
甘味:低 → 中 → 低未熟感 → キャラメル様 → 甘味飛散
香り:高 → 中 → 強調フローラル・紅茶様 → ナッツ・スパイス → ロースト香
ボディ:軽 → 中 → 重軽やか → なめらか → 厚みと粘性

■ 測定基準と客観指標

焙煎度は視覚的・官能的に判断されることが多いが、科学的測定として以下のような指標が使用される。

測定方法説明
アグトロン値(Agtron)専用機器により豆の反射率を測定し、数値化した色度指標。数値が大きいほど浅煎り(例:70=ライト、35=フルシティ)
L値(明度)色彩学に基づく明るさの指標。高L値は浅煎り、低L値は深煎りを示す
比重測定焙煎後の豆の密度を測定し、焼き具合を推定する方法

■ 焙煎度の選び方と用途例

焙煎度適した抽出法向いているユーザー層・飲用シーン
浅煎りハンドドリップ、エアロプレス酸味好き・産地の個性を重視する人、浅煎り愛好家
中煎りドリップ、フレンチプレス、サイフォンバランス重視の一般消費者、軽食とのペアリングに最適
深煎りエスプレッソ、カフェオレ、ミルク割カフェラテ向け、濃厚な味を好む人、喫茶店スタイル
極深煎りイタリアンロースター、ベトナムコーヒー苦味を活かしたスイーツ系ドリンクや業務用途

■ 備考

  • 同じ焙煎度でも品種・精製法・産地によって味の出方は大きく異なる。
  • 焙煎は焙煎機の性能やプロファイル(温度上昇の推移)にも大きく依存するため、数値だけでなく焙煎士の意図も読み解く必要がある。

【関連語】ローストレベル/アグトロン値/L値/ハイロースト/エスプレッソロースト
【類語】焼き加減/火入れ度合い/焙煎強度
【分類】焙煎/味覚設計/プロファイリング/風味変化要素

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