【名詞】《味覚表現図|官能評価|コーヒー分析ツール》

コーヒーの香味特性を視覚的・体系的に分類し、同心円状に配置した円形チャートのこと。
英語では “Flavor Wheel” と呼ばれ、テイスティングやカッピングにおける風味表現の統一と理解を助けるために用いられる。
特にスペシャルティコーヒーの分野では、官能評価(Sensory Evaluation)の標準化ツールとして重要視されており、世界各国の生産者・焙煎士・バリスタ・Qグレーダーによって共有・活用されている。
■ 基本構造と読み方
- 内円(中心):大分類(例:フルーティー、スパイシー、ナッツ、ローストなど)
- 中円〜外円:小分類・具体的な風味(例:ベリー、柑橘、チョコレート、クローブ、スモーク など)
- 例えば「フルーティー」→「ベリー」→「ラズベリー」と段階的に精密化されていく構造
- 色分けにより風味グループを直感的に把握可能
■ 歴史と背景
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1995年 | 米国スペシャルティコーヒー協会(SCAA)が初代フレーバーホイールを発表 |
| 2016年 | ワールドコーヒーリサーチ(WCR)との共同研究により改訂版「Coffee Taster’s Flavor Wheel」を公開 |
| 現在 | SCAやCQIによってグローバルなテイスティングツールとして公式採用されている |
■ 活用場面
| シーン | 活用法 |
|---|---|
| カッピング | 風味記述の精度向上。複数人での比較・採点基準の統一に貢献 |
| 焙煎設計 | 味の方向性をビジュアルで確認しながら、酸・甘・苦・香味の調整に利用 |
| 教育・研修 | 初学者やスタッフに対して香味の共通言語を学ぶ教材として機能 |
| Qグレーディング | 官能評価試験において表現のばらつきを減らし、認定基準に近づける補助ツールとして活用 |
| 商品開発 | テイスティングコメントの精緻化、風味表現の差別化やマーケティング文言作成にも応用される |
■ 意義と利点
- 香味の“言語化”を視覚化し、感覚的な表現に共通性をもたらす
- 初心者でも言葉にしづらい香味を体系的に捉えることができる
- 国境・言語を越えた国際的なカッピング標準の一部として普及している
- 同様の手法はワイン・ビール・チョコレート・紅茶などの業界にも波及
【関連語】カッピング/官能評価/香味分析/SCA基準/テイスティングツール
【類語】テイスティングホイール/アロマチャート/フレーバーマップ
【分類】品質評価/味覚教育/スペシャルティ用語/国際標準技術


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