アラビカ種(アラビカしゅ)

【名詞】《コーヒー品種|学名:Coffea arabica|高品質種》

コーヒー植物の代表的な品種の一つで、世界中で流通する全コーヒーの約60〜70%を占める主要種。
学名は Coffea arabica香味に優れ、スペシャルティコーヒーの基準となる品種とされる。
熱帯高地を主な栽培地とし、他の品種(ロブスタ種など)に比べて病害虫や気候変動に弱いが、その繊細さが複雑な風味の形成につながっている。


■ 主な特徴

項目内容
学名Coffea arabica
染色体数44本(4倍体)
原産地エチオピアの高地。アビシニア地方が起源とされる。
味わい傾向酸味が明るく、甘さがあり、フローラル・フルーティ・ナッツなど多様な香味を持つ。
栽培地中南米、東アフリカ、アジアの高地(800m〜2,200m)
カフェイン含有量約1.0〜1.5%(ロブスタ種より少ない)

■ 栽培と環境適応

アラビカ種は一般に標高1,000m以上の冷涼な熱帯高地を好み、年平均気温が18〜21℃、豊富な降水量と日照が必要とされる。
日中と夜間の寒暖差が大きい環境では、豆がゆっくりと成熟し、より複雑で芳醇な風味を形成する。

ただし、以下の課題も併せ持つ。

  • 病害虫(例:コーヒーさび病)に弱い
  • 気候変動に敏感であり、収量の安定性に課題がある
  • 栽培・収穫・精製に手間がかかる

■ 品種系統(代表例)

系統説明
ティピカ(Typica)最も古く原種に近い品種。甘さとクリーンカップに優れるが、収量は低め。
ブルボン(Bourbon)ティピカの突然変異種。豊かな甘みとやや高い収量。
ゲイシャ(Geisha)パナマで注目された希少種。ジャスミンやベルガモットのような高貴な香りが特徴。
カトゥーラ、カトゥアイブラジル系の矮性品種で、病害耐性と収量性に優れる。

■ 歴史と普及

  • 紀元前6世紀頃、エチオピアの山岳地帯で自生していたアラビカ種が、人類によって発見・利用されはじめた。
  • 15世紀にはイエメンを経てアラビア半島に伝播し、「アラビカ(Arabica)」の名の由来となる。
  • 17世紀にはオランダによりインドネシアへ、さらに中南米やアフリカ各地へと拡散し、世界的な栽培品種へと成長した。

■ 現代の評価

スペシャルティコーヒー市場では、アラビカ種=高品質・高付加価値品種として認識されている。
SCA(スペシャルティコーヒー協会)などが定める品質評価基準(カッピングスコアなど)においても、アラビカ種が評価対象の主軸である。


【関連語】Coffea arabica/スペシャルティコーヒー/ティピカ系/ブルボン系/ゲイシャ/在来種
【対義語】ロブスタ種(Coffea canephora)/リベリカ種(Coffea liberica)
【分類】コーヒー品種/高地栽培/酸味系/アロマティック系品種

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