半熱風式(はんねっぷうしき)

【名詞】《焙煎機構分類|加熱方式|バランス型ロースター》

直火式と熱風式の中間的構造を持つ焙煎機の加熱方式。
ドラム内部に直接火は入らず、熱風とドラムの熱の両方を使ってコーヒー豆を焙煎する機構である。
熱源の火はドラムの外側に配置され、燃焼によって発生した熱風がダクトや開口部を通ってドラム内に流入しつつ、ドラム自体の接触熱(伝導熱)も加わるため、熱伝導・対流のバランスが取れた焙煎が可能となる。


■ 基本構造と動作原理

項目内容
ドラム構造多くは密閉型の金属製ドラム(小孔なし)
熱源ガスバーナー(ドラム外側に配置)
熱伝導方式伝導熱(ドラムの熱)+対流熱(熱風)
排気システムダンパーによる排気量調整あり。チャフ除去構造と一体化している場合も多い
代表機種フジローヤル(R-101/R-103など)、ノボコーヒー、サンプルロースター類

■ 味わいの傾向と特性

特性内容
焙煎の安定性熱風が均一に広がるため、ムラの少ない安定した焙煎が可能
香りナッツ、チョコ、キャラメル系のクリアで落ち着いた香りになりやすい
酸味焙煎度によって明瞭な酸からまろやかな酸まで表現しやすい
コク直火式よりやや軽め。透明感とボディのバランスがよく出る
再現性熱制御・排気制御の安定性によりプロファイル再現性が高い

■ 直火式・熱風式との比較

焙煎方式加熱構造特徴
直火式火がドラム内に直接入り、豆に当たる香ばしさ・スモーキーな焙煎香。職人的で再現性が低い
半熱風式火は直接入らず、熱風とドラム熱で加熱直火と熱風のバランス型。味の設計幅が広く、安定性も高い
熱風式完全に熱風のみで加熱クリアでフレーバー明瞭。浅煎りやスペシャルティ向けに最適

■ メリットとデメリット

メリット注意点・デメリット
安定した焙煎が可能で、初心者にも扱いやすい・直火式に比べて香ばしさ・焦げ感は出にくい
味のコントロール性が高く、酸・甘味の設計が容易・構造上、排気管理や清掃がやや複雑な場合もある
深煎りから浅煎りまで幅広く対応・豆の個性を強く引き出すには、やや味が均質化しやすい傾向も

■ 活用シーンと導入背景

  • 日本の喫茶店や小規模ロースターで広く使用されている形式。
  • 焙煎士が火加減・排気・タイミングを適切に操作することで、個性と再現性を両立させた味わいが可能
  • 近年では、焙煎プロファイル管理ソフトと連携できるモデルもあり、スペシャルティ市場にも適応が進んでいる。

【関連語】焙煎方式/ロースター/ドラム構造/熱源設計/排気制御
【類語】セミホットブラスト/中間型ロースター/バランス型焙煎機
【分類】焙煎工学/機械構造/味設計/再現性向上技術

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