ロブスタ種(ロブスタしゅ)

【名詞】《コーヒー品種|学名:Coffea canephora|耐性品種》

コーヒー植物の主要品種の一つで、正式な学名は Coffea canephora(カネフォラ種)。
一般に「ロブスタ種(Robusta)」として流通し、世界のコーヒー生産量の約30〜40%を占める。
病害虫や高温多湿に強く、低地でも育つため、大量生産に向いている反面、アラビカ種に比べて風味の繊細さや酸の明るさには乏しいとされる。


■ 主な特徴

項目内容
学名Coffea canephora(カネフォラ)
通称名ロブスタ種(Robusta)
染色体数22本(2倍体)
原産地中央アフリカ(コンゴ盆地など)
味わい傾向苦味が強く、渋味・土っぽさ・木の皮のような風味。酸は控えめ。
カフェイン含有量約2.2〜2.7%(アラビカ種の2倍近い)
耐病性・耐暑性さび病・高温多湿・害虫に非常に強い
標高適応主に標高200〜800mの低地で栽培可能

■ 栽培と流通

  • 主な生産国は ベトナム、ブラジル、インド、ウガンダ、インドネシアなど。
     中でもベトナムはロブスタ最大の輸出国であり、全体の約40%を占める。
  • 高収量・低コストで栽培可能なことから、インスタントコーヒー、缶コーヒー、エスプレッソブレンドの補助豆などに広く用いられる。
  • 地元消費用の「デイリーコーヒー」向けとしても根強い需要がある。

■ アラビカ種との比較

項目アラビカ種(C. arabicaロブスタ種(C. canephora
味わい明るい酸味、繊細な香り、甘み苦味が強く、重く土っぽい
栽培環境高地(800〜2,200m)、冷涼な気候低地(200〜800m)、高温多湿
カフェイン量約1.0〜1.5%約2.2〜2.7%
耐病性・耐虫性弱い強い
価格・コスト高価(収量少)安価(収量多)

■ 現代における位置づけ

  • 従来は「低品質」とされがちであったが、近年では発酵技術や品種改良、精製法の工夫により、香味に優れたロブスタも登場している。
  • 特にスペシャルティ・ロブスタ(Fine Robusta)の取り組みがアフリカやアジア各国で進みつつあり、将来的なコーヒー多様性の鍵を握る存在でもある。
  • また、地球温暖化によりアラビカ栽培地が縮小する中、ロブスタ種の持つ環境適応力が注目されている。

【関連語】カネフォラ種/インスタントコーヒー/ベトナムコーヒー/苦味/高カフェイン/耐病性品種
【対義語】アラビカ種(C. arabica)/スペシャルティコーヒー
【分類】コーヒー品種/耐性系/高収量/低標高栽培

コメント

タイトルとURLをコピーしました