【名詞】《焙煎機構部品|空気制御|排気調整弁》
焙煎機(ロースター)において、排気の流量や空気の通り道(エアフロー)を調節するための開閉装置、または調整弁の総称。
主に焙煎中の熱風と煙の排出量を制御する役割を果たし、焙煎プロファイル(火の入り方・味の出方)に直接影響を与える。
通常はハンドルやレバーによって開度を0〜100%で操作でき、ダンパーの操作は焙煎士の重要な技術要素の一つとされる。
■ 主な役割と構造
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 排気量調整 | 煙・水分・揮発性化合物の排出を管理し、焦げ・えぐ味を防ぐ |
| 燃焼空気の制御 | ガスバーナーの燃焼に必要な空気流を安定させ、過不足を防ぐ |
| 焙煎熱量の調整 | 熱風式ロースターでは、ダンパーの開閉により釜内温度変化が大きく影響する |
| 豆の味設計 | ダンパー調整によって、酸味の残し方・ボディの形成・煙香の付加などが可能になる |
■ ダンパーの種類
| 種類名 | 説明 |
|---|---|
| 手動式 | 焙煎士がハンドル・レバーでリアルタイムに調整。感覚と経験が重視される |
| 電動式 | 焙煎機に搭載されたモーター制御で自動開閉。プロファイル記録との連携が可能 |
| スライド式 | 横引きで開閉するタイプ。シンプルな構造で手入れが容易 |
| バタフライ型 | 円盤状の弁で風路の中心に開閉部を設ける。大型熱風式ロースターなどで多用される |
■ 焙煎への影響例(ダンパー操作と味わいの関係)
| 操作内容 | 焙煎への影響 |
|---|---|
| ダンパーを閉じ気味にする | 熱がこもりやすくなり、火入れが強まりボディが出やすくなる |
| ダンパーを開け気味にする | 排気が促進され、酸味が残りやすく、クリーンカップになりやすい |
| 焙煎中に段階的に開く | 焙煎初期→排気抑制で熱吸収促進、後半→排気強化で焦げ臭の除去と香味の引き締め |
| 一定開度を保つ(一定排気) | 安定した焙煎が可能だが、豆の個性に対する応答性は下がる |
■ 注意点
- ダンパー操作はドラム回転数・火力・豆量・湿度などとのバランスが重要。単独では調整しきれない
- 焙煎の再現性を高めるために、開度と時間を数値記録するプロファイル管理が推奨される
- ダンパーが煤やチャフで目詰まりすると、排気不良・火災リスクの原因にもなりうるため定期清掃が必要
【関連語】エアフロー/排気/焙煎機構/ドラムロースター/熱風式/チャフコレクター
【類語】排気弁/エキゾーストコントロール/通気調整弁
【分類】焙煎工学/機械部品/味設計/熱制御システム


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